こんにちは、in東京のサポーターをしています @xtetsuji です。
このブログ記事は Perl入学式アドベントカレンダー の2日目です。
2016年4月からの今年度のPerl入学式は、東京の他に2012年から長い歴史をもつ大阪、そして新たに沖縄で開講されています。 今年度から始まったPerl入学式in沖縄は、琉球大学工学部や Okinawa.pm といった沖縄の元気なコミュニティによって良い盛り上がりを見せています。私は今年度に入って2度Perl入学式in沖縄に(完全手弁当で)行ったのですが、1年目なのにとても良い盛り上がりで今後が楽しみです。
大阪や沖縄の話はそれぞれの土地の方に任せることにして、ここでは今年度のPerl入学式in東京の試みの数々をご紹介いたします。
前期後期制
昨年度までのPerl入学式in東京は、偶数月の隔月6回(本講)開催を基本にして、次の奇数月には同じ回の「再放送」である補講を行っていました。本講の日に都合が悪く行けないという方のフォローであったり、本講で収容できない補欠の方の受け皿的意味合いもありました。
ただ、受講生の方から「2ヶ月に一度だと前回の講義内容を忘れる」「間延びしてしまう」といった意見もありました。であれば補講を廃止して毎月開催とし、10月から3月までは再度同じカリキュラムを「後期」と称して行えばいいのでは?といった意見が出て、今年度からPerl入学式in東京で試すこととなります。
手弁当でサポーターに来てくれる方はそれほど多くないとはいえ、大阪や沖縄よりはサポーターの集まりも良い東京では、なんとか4月から9月までの毎月開催で前期を回すことができました。
前期後期制をどうするかで年度初めに迷いがあったりして、開始月が5月になってしまったということもありますが、2015年度に実験的に全6回を全5回に圧縮したカリキュラムを正式なものとして、5月から9月までの全5回となりました。受講生の方からも概ね好評(毎月開催は頻繁だという意見は無かった)で、当初の予定通り「後期」も始まっています。後期ですが、10月は4月同様休みとし、11月から3月までの毎月開催を予定しています。既に後期第1回は11月26日に後期第1回を開講しています。ちなみに後期第2回は12月17日です。
ちないに大阪や沖縄では、今まで通り隔週をベースとした開催間隔を取っています。
全5回への圧縮
上記でも少し触れましたが、2015年度に実験的に行った全6回開催を全5回開催へ圧縮する試みも、今年度に正式なものとしました。こちらは大阪や沖縄も同様です。
どこを圧縮したかというと、全6回時に「第5回」だったカリキュラムをほぼそのまま無くす形となりました。
もともとの「第5回」はパッケージの作成方法やテストといったカリキュラムだったのですが、この段階では意識的にパッケージを作るといった部分は難しかったり、テストもまだありがたみを感じるよりも面倒さを感じる方が大きいのではないかという判断もありました。
もちろん、カリキュラムを練っている少なくないサポーター達は CPAN へモジュールをアップロードしたり業務でバリバリ Perl を書いている人であるわけで、パッケージやテストの大切さは人一倍知っています。ただ、Perl入学式に参加したこの段階の受講生のモチベーションを引き出して絶やさないということを考えると、この段階ではないという結論に至ったわけです。
リファレンスなどが入る第3回や第4回は大きなヤマとして受講生を苦しめますが、そこをかいくぐった受講生にとって当初の「第5回」は実はそれほど難しくないといった事実はありました。またペアプロの初歩の初歩といった部分は受講生間の交流に一役買っていたことは事実ですが、サポーターや講師からするとその部分の教え方が難しいというのもありました。
サポーターも手弁当で来てもらっているわけで、講義の回数が減ることは負担低減になります。それは受講生にとっても同じことで、多くの受講生の興味であるウェブアプリケーション作成といった部分にスムーズに至ることができるという意味では、当初の「第5回」のカリキュラムはいったん取り下げてみるのは良い決断だったかもしれません。
もちろん、それであればデータ構造やリファレンスをすべてすっ飛ばして言われるがままウェブフレームワークのコードを書いてもらうということもできるでしょう。ただ、基礎を理解して自分の頭で考えられるプログラマになって欲しいというのは、Perl入学式の当初からの願いなので、これ以上の圧縮は直近では無いでしょう。
パッケージやテストといった部分は多人数でプログラミングをし始めて重要さを感じる部分かと思います。Perl入学式ではまず「自分が作りたい小さなツールが自分で作れる」といった小さな目標に近づくお手伝いをすることに注力するとし、パッケージやテストといった部分については、Perl入学式の卒業生向けに別の中級者向けPerl勉強会を開きそこでフォローする、といったあり方も模索中です。
ピザ0次会
多くの勉強会と同様、Perl入学式も「懇親会が本番」というサポーターが多いです。
かくいう私もそう思っているのですが、受講生からしたら初対面同然の人達といきなり飲み会に行くというのはかなりハードルが高いということは以前から思っていました。
もちろん、そういうこともあるので、当初から飲み会に果敢に飛び込んできてくれた人は定着率もその後サポーターになってくれる確率も非常に高かったりします。そういう「ガンガン来てくれる人」を期待するというのも一つの方法ではありますが、サポーター・運営側もハードルを低くできるならしたほうがいいと考えていました。
無料の勉強会なのに「懇親会は居酒屋へ移動して、数千円の有料の飲み会(一次会)」だからハードルが高いこともあるでしょう。なので「講義で使った部屋を出ず、なるべく廉価で、ソフトドリンクでの歓談」であれば参加する人も多いかなという考えの元生み出されたのが「ピザ0次会」と呼んでいる今の形式です。
ピザ0次会を簡単に説明すると、講義終了後にその会場内でピザとソフトドリンクを提供して2時間程度歓談するという試みです。サポーターも手弁当なので完全無料は難しいのですが、1000円以内に収めるようにしています。
このピザ0次会は概ね好評で、今まで居酒屋の一次会への参加率が半数以下だとすると、ピザ0次会は受講生の8割前後が来てくれている感触があります。ピザ0次会で盛り上がった受講生の方々が、話し足りないとその後の一次会に移動してくれるケースもあったりして、一定の成果を収めているといっても良さそうです。
「コミュニティの内輪問題」はたびたび取り沙汰されています。Perl入学式でも定期的に不必要な内輪ネタを取り除く試みをしていますが、内輪は安心感や面白さを醸成してくれる基盤でもあって、手弁当で活動してくれるサポーターにとっての数少ない「対価」であるともいえます。最低限の基盤である最小限の内輪については、無くすよりもハードルを出来る限り低くして受講生の方々にも飛び込んでもらえるよう日々努力する、というのが最近のPerl入学式in東京のスタイルとして確立しつつあります。そうして、今期の受講生のうち数人でも来期のサポーターになってもらえることで、Perl入学式in東京が継続的に成長していけるというのが私達の理想なのかもしれません。
*
現在(2016年秋冬)は後期カリキュラムを進めつつ、その他にも新たな試みをいくつか考えています。
Perl入学式の特徴は、期ごとに「大きな変化がない」という受講生側の安心感なのかもしれません。そういう意味では新しい試みは慎重に考えつつ、「下位互換性」が取れるのであれば勇気を持って新しい施策を取り入れていくことを今後も続けていきたいと思います。それは Perl5 言語自体の良さでもありますね。Perl の文化から学ぶことは多いです。
このブログ記事は Perl入学式アドベントカレンダー の2日目です。
2016年4月からの今年度のPerl入学式は、東京の他に2012年から長い歴史をもつ大阪、そして新たに沖縄で開講されています。 今年度から始まったPerl入学式in沖縄は、琉球大学工学部や Okinawa.pm といった沖縄の元気なコミュニティによって良い盛り上がりを見せています。私は今年度に入って2度Perl入学式in沖縄に(完全手弁当で)行ったのですが、1年目なのにとても良い盛り上がりで今後が楽しみです。
大阪や沖縄の話はそれぞれの土地の方に任せることにして、ここでは今年度のPerl入学式in東京の試みの数々をご紹介いたします。
前期後期制
昨年度までのPerl入学式in東京は、偶数月の隔月6回(本講)開催を基本にして、次の奇数月には同じ回の「再放送」である補講を行っていました。本講の日に都合が悪く行けないという方のフォローであったり、本講で収容できない補欠の方の受け皿的意味合いもありました。
ただ、受講生の方から「2ヶ月に一度だと前回の講義内容を忘れる」「間延びしてしまう」といった意見もありました。であれば補講を廃止して毎月開催とし、10月から3月までは再度同じカリキュラムを「後期」と称して行えばいいのでは?といった意見が出て、今年度からPerl入学式in東京で試すこととなります。
手弁当でサポーターに来てくれる方はそれほど多くないとはいえ、大阪や沖縄よりはサポーターの集まりも良い東京では、なんとか4月から9月までの毎月開催で前期を回すことができました。
前期後期制をどうするかで年度初めに迷いがあったりして、開始月が5月になってしまったということもありますが、2015年度に実験的に全6回を全5回に圧縮したカリキュラムを正式なものとして、5月から9月までの全5回となりました。受講生の方からも概ね好評(毎月開催は頻繁だという意見は無かった)で、当初の予定通り「後期」も始まっています。後期ですが、10月は4月同様休みとし、11月から3月までの毎月開催を予定しています。既に後期第1回は11月26日に後期第1回を開講しています。ちなみに後期第2回は12月17日です。
ちないに大阪や沖縄では、今まで通り隔週をベースとした開催間隔を取っています。
全5回への圧縮
上記でも少し触れましたが、2015年度に実験的に行った全6回開催を全5回開催へ圧縮する試みも、今年度に正式なものとしました。こちらは大阪や沖縄も同様です。
どこを圧縮したかというと、全6回時に「第5回」だったカリキュラムをほぼそのまま無くす形となりました。
もともとの「第5回」はパッケージの作成方法やテストといったカリキュラムだったのですが、この段階では意識的にパッケージを作るといった部分は難しかったり、テストもまだありがたみを感じるよりも面倒さを感じる方が大きいのではないかという判断もありました。
もちろん、カリキュラムを練っている少なくないサポーター達は CPAN へモジュールをアップロードしたり業務でバリバリ Perl を書いている人であるわけで、パッケージやテストの大切さは人一倍知っています。ただ、Perl入学式に参加したこの段階の受講生のモチベーションを引き出して絶やさないということを考えると、この段階ではないという結論に至ったわけです。
リファレンスなどが入る第3回や第4回は大きなヤマとして受講生を苦しめますが、そこをかいくぐった受講生にとって当初の「第5回」は実はそれほど難しくないといった事実はありました。またペアプロの初歩の初歩といった部分は受講生間の交流に一役買っていたことは事実ですが、サポーターや講師からするとその部分の教え方が難しいというのもありました。
サポーターも手弁当で来てもらっているわけで、講義の回数が減ることは負担低減になります。それは受講生にとっても同じことで、多くの受講生の興味であるウェブアプリケーション作成といった部分にスムーズに至ることができるという意味では、当初の「第5回」のカリキュラムはいったん取り下げてみるのは良い決断だったかもしれません。
もちろん、それであればデータ構造やリファレンスをすべてすっ飛ばして言われるがままウェブフレームワークのコードを書いてもらうということもできるでしょう。ただ、基礎を理解して自分の頭で考えられるプログラマになって欲しいというのは、Perl入学式の当初からの願いなので、これ以上の圧縮は直近では無いでしょう。
パッケージやテストといった部分は多人数でプログラミングをし始めて重要さを感じる部分かと思います。Perl入学式ではまず「自分が作りたい小さなツールが自分で作れる」といった小さな目標に近づくお手伝いをすることに注力するとし、パッケージやテストといった部分については、Perl入学式の卒業生向けに別の中級者向けPerl勉強会を開きそこでフォローする、といったあり方も模索中です。
ピザ0次会
多くの勉強会と同様、Perl入学式も「懇親会が本番」というサポーターが多いです。
かくいう私もそう思っているのですが、受講生からしたら初対面同然の人達といきなり飲み会に行くというのはかなりハードルが高いということは以前から思っていました。
もちろん、そういうこともあるので、当初から飲み会に果敢に飛び込んできてくれた人は定着率もその後サポーターになってくれる確率も非常に高かったりします。そういう「ガンガン来てくれる人」を期待するというのも一つの方法ではありますが、サポーター・運営側もハードルを低くできるならしたほうがいいと考えていました。
無料の勉強会なのに「懇親会は居酒屋へ移動して、数千円の有料の飲み会(一次会)」だからハードルが高いこともあるでしょう。なので「講義で使った部屋を出ず、なるべく廉価で、ソフトドリンクでの歓談」であれば参加する人も多いかなという考えの元生み出されたのが「ピザ0次会」と呼んでいる今の形式です。
ピザ0次会を簡単に説明すると、講義終了後にその会場内でピザとソフトドリンクを提供して2時間程度歓談するという試みです。サポーターも手弁当なので完全無料は難しいのですが、1000円以内に収めるようにしています。
このピザ0次会は概ね好評で、今まで居酒屋の一次会への参加率が半数以下だとすると、ピザ0次会は受講生の8割前後が来てくれている感触があります。ピザ0次会で盛り上がった受講生の方々が、話し足りないとその後の一次会に移動してくれるケースもあったりして、一定の成果を収めているといっても良さそうです。
「コミュニティの内輪問題」はたびたび取り沙汰されています。Perl入学式でも定期的に不必要な内輪ネタを取り除く試みをしていますが、内輪は安心感や面白さを醸成してくれる基盤でもあって、手弁当で活動してくれるサポーターにとっての数少ない「対価」であるともいえます。最低限の基盤である最小限の内輪については、無くすよりもハードルを出来る限り低くして受講生の方々にも飛び込んでもらえるよう日々努力する、というのが最近のPerl入学式in東京のスタイルとして確立しつつあります。そうして、今期の受講生のうち数人でも来期のサポーターになってもらえることで、Perl入学式in東京が継続的に成長していけるというのが私達の理想なのかもしれません。
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現在(2016年秋冬)は後期カリキュラムを進めつつ、その他にも新たな試みをいくつか考えています。
Perl入学式の特徴は、期ごとに「大きな変化がない」という受講生側の安心感なのかもしれません。そういう意味では新しい試みは慎重に考えつつ、「下位互換性」が取れるのであれば勇気を持って新しい施策を取り入れていくことを今後も続けていきたいと思います。それは Perl5 言語自体の良さでもありますね。Perl の文化から学ぶことは多いです。
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